インタビュー

2022.11.07

「会社四季報」の読み方を解説! 就活で見るべき3つのポイントとは

「就活ではまず四季報をチェックしてみよう!」
就活セミナーや説明会で、そんな言葉を聞いたことはありませんか?

四季報って何だろう、難しくて読み方がよく分からない…そう思われる就活生の方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、就活において有力な武器となる「会社四季報」の読み方・活用方法について、元公認会計士である管理部のWさんにお話を伺いました。記載されている数字の意味だけではなく、就活生の皆さんの就活軸に合わせた読み解き方までご紹介します!

2022年版「会社四季報」。分厚いので支えがなくても自立します

四季報って何?

「四季報」とは、1年間に4回刊行される出版物のことです。就活における四季報と言えば、主に「就職四季報」「会社四季報」などが挙げられます。
今回は、これらのうち「会社四季報」の読み方についてWさんに解説してもらいます。

株式投資の研究のために用いられることが多い「会社四季報」ですが、就職活動のために活用することもできます。以下では、「会社四季報」をどのように就活に利用するのかを見ていきましょう。

「就職四季報」と「会社四季報」の違いは?

まず、「就職四季報」と「会社四季報」の違いについて確認しましょう。

【就職四季報】
・各企業の採用における選考ポイントや過去の採用数・給与などが載っている
・主に就活生に用いられる
・大手企業を中心に、出版社が独自に選定した5000社が掲載されている

【会社四季報】
・会社の特色や株式、業績、財務などに関する情報が載っている
・主に投資家に用いられる
・上場した企業のみが掲載されている
(ファーストロジックも、上場企業として「会社四季報」に掲載されています)

「会社四季報」は「就職四季報」に比べて、一見就活に関係がない冊子だと思われるかもしれません。しかし、「他の就活生よりも一歩踏み込んだ就活をしたい方」にこそ、「会社四季報」をおすすめします。

「会社四季報」は、選考に進む前の企業研究に活用することができます。企業に関する詳細なデータが揃っているため、より深く企業を分析することができるのです。「企業研究でまず何をすれば良いか分からない」という人も、ぜひ「会社四季報」を使って企業の情報収集をしてみてください。

ここからは、元公認会計士のWさんに具体的な「会社四季報」のチェックポイントについて伺っていきます。

R.Wさん
2014年12月に中途入社。現在は管理部で経理、法務、財務、IRを担当。

「会社四季報」で見るべき3つのポイント

― 就活で「会社四季報」を使う場合、見るべきポイントを教えてください。

ページの全ての情報を逐一チェックするのは難しいので、主に見るべきポイントを絞ると ①業績、②財務、③株主、の3つになります。

― ひとつずつ解説をお願いします。①の「業績」はどのように見ますか?

【業績】という欄を見てもらうと、左から「決算期」「売上高」「営業利益」の記載があります。ここで見てほしいのは、売上高や営業利益がマイナスになっていないか、年度ごとに増加しているか、という点です。

― 売上高と営業利益は何が違うのでしょうか。

営業利益というのは、「売上高」から「売上にかかったコスト」を引いたものです。どれだけ売上高が大きくても、それ以上にコストがかかっていれば赤字になってしまいます。
売上高の数字だけに注目せず、必ず営業利益もチェックしましょう。

また、「売上高」のうち「営業利益」が占める割合を表したものが「営業利益率」です。この数値が高いほど、効率的に利益を出せている=事業が好調であることを示すので、【営業利益率】という欄も合わせて見ると良いです。

数字の横についた「▲」の記号は、「マイナス」を表しています。当たり前ですが、売上や利益がマイナスということは、事業が上手くいっていないということです。年度ごとに売上や利益が増加しており、またその増加率が高い企業ほど、事業が順調であると言えます。

― ②の「財務」はどのように見ますか?

【株式】の下にある【財務】という欄の中で、「自己資本比率」という部分に注目してください。

「自己資本」とは会社が所有している、返す必要のないお金のことで、どこかから借りているお金は自己資本に含まれません。会社の総資産のうちどれくらいが自己資本であるか、という割合を示したものが「自己資本比率」です。この比率が高いほど、企業の借金が少ない=経営が健全である、ということを示しています。

― 最後に、③の「株主」の見方を教えてください。

【株主】という欄では、企業の株式を誰がどれだけ持っているか、という配分を確認することができます。株式会社の所有者は株主であり、株主の中でも保有している株式の割合が高い人の意見によって会社は動きます。

特に中小企業の場合は、最も多くの株式を持っている株主(筆頭株主)が社長か会社の役員である、という状態が望ましいです。大企業の場合は規模が大きすぎて各株主の持つ株式が分散されているため、中小企業ほど気にする必要はありません。社長や役員の持つ株式を全て合わせた割合が全体の15~20%ほどあれば安定していると言えます。

― 筆頭株主が社外の人だと問題があるのでしょうか?

例えば、ある株式会社の株式を社長が30%、社外の人であるAさんが40%保有していたとします。この時、社長や社員が「こういう方向で事業を進めたい」と考えていても、Aさんがそれとは異なる方向性で事業を進めるよう指示した場合、その意見に従わなければなりません。

株主と会社が対立する例は稀に見られます。有名なところだと、総合電機メーカーのT社が会社を事業ごとに3分割したいという案を検討していたものの、株主に反対されたために会社の意向が通らなかったという事例がありました。

自分の利益を優先する株主と、企業の将来を考える社長や社員、双方の目指す方向性が異なれば企業が不安定になってしまいます。そんな事態を避けるためには、できれば社長や会社の役員が最も多くの株式を保有している企業を選ぶと良いでしょう。

持ち株の比率ごとに認められる権利一覧

就活の軸に合わせた企業選び

「会社四季報」で見るべき箇所は、①業績、②財務、③株主、の3つだと分かりました。それでは、具体的に「こんな企業に就職したい!」という軸が決まっている人はどのポイントを重視するべきなのか、目安となる数字も含めて確認してみましょう。

例1:勢いのある企業で働いて成長したい人の場合

注目ポイントは「①業績」です。
売上高・営業利益の数字から、年度ごとの増加率をチェックしましょう。増加率が高いほど、事業が軌道に乗っていること、短期間で大きく成長していることを示しています。

企業の「勢い」は数字に表れます。前年比でどれだけ売上高・営業利益が伸びているか、というデータから、客観的な分析を行うことができます。 今まさに成長している企業で自分も一緒に成長したい、という人は短期間で数字が大きく伸びている企業を選びましょう。

例2:数年で潰れるようなことのない、安定した企業で働きたい人の場合

注目ポイントは「②財務」です。
企業が安定しているかどうかを見るなら、やはりチェックするのは「自己資本比率」です。借金が少ない・ほとんど会社のお金で経営できている=経営が安定している、ということなので、自己資本比率が高い企業であれば倒産の心配も少なく、安全性が高いです。

目安としては、自己資本比率が「30%」もあれば充分です。総資産に占める自己資本の%割合が一桁しかない、という企業は安全性という点では避けましょう。 (銀行等自己資本比率が低いことが一般的な業種は除く)

例3:若いうちから裁量権を持って働きたい人の場合

注目ポイントは「①業績」です。
売上高、営業利益率が高い企業を選びましょう。企業が儲かっていれば、それだけ若い人材に投資として業務を任せられる余裕があります。

営業利益率(=売上高に占める営業利益の割合)の一般的な水準値は約10%です。そのため、11%以上であれば優良水準と判断できます。

ちなみに、ファーストロジックは…?

ファーストロジックの場合は、どのような就活軸の人に向いているのでしょうか。「会社四季報 2022年4集秋号」を元に、以下で簡単に確認してみます。

①業績:マイナスになっている数値はなく、営業利益率は「47.1%」と目安の11%を大きく上回っている
→売上高・営業利益ともに増加傾向で、成長している企業であることが読み取れる

②財務:自己資本比率が「95.3%」と、目安の30%を大きく上回っている
→非常に高い割合であることから、健全な経営を行っていることが確認できる

③株主:「63.5%」の株式を当社の社長が保有している(筆頭株主である)
→社員と株主の意向が食い違って会社が不安定になってしまう事態は起こらない

これらのデータから、当社は「成長できる企業、安定している企業で働きたい!」という就活生に向いている企業だと言えます。

「会社四季報」を使った分析が向いていない就活軸

ここまでは、自分の就活軸に合った企業を選ぶためのポイントを紹介しました。しかし、以下のような就活軸の場合は、「会社四季報」で企業を選ぶのに向いていません。

 ・設立されて間もないスタートアップ企業で働きたい
 ・社風や現場の雰囲気を最も重視したい
 ・給与や福利厚生など、待遇を重視したい
 ・人間関係が良好な職場で働きたい

「会社四季報」には上場企業のみが掲載されているため、スタートアップ企業の情報は得られません。また、社風や現場の雰囲気などは文字だけでは知ることができないため、情報を得るには別の手段を考える必要があります。

選考や待遇に関する情報が載った「就職四季報」の方も合わせて読む、説明会や体験入社に積極的に参加するなどの方法で、自分の就活軸に合った企業を探しましょう。

就活における「会社四季報」の活用方法について、理解は深まったでしょうか?
一見難しい文字の羅列に見える「会社四季報」も、見るべきポイントを押さえれば企業研究をするための有力な武器となります。

「自分の就活軸がファーストロジックに合っているかも」
「文字だけでは分からない会社の雰囲気を実際に見てみたい」

ブログを読んでそう思われた方はぜひ、当社の説明会や選考に参加してみてください。社員一同、お待ちしております!

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