ファーストロジックについて

2021.05.31

不動産投資メディアなのに「不動産投資はするな」? オウンドメディアの「存在意義」とは

「御社のあの記事を読んで、本当に不動産投資って怖いんだなと思って…。勢いで物件を買わなくてよかったと思いました」

以前、私が採用面接をした20代の男性が神妙な表情でこう話していました。男性はちょうどその少し前に投資用マンションの営業を受けていて、購入に興味を持って調べていたところ、当社が運営する不動産投資メディア「楽待新聞」の記事を読んで踏みとどまったというのです。

その記事は、不動産ブローカーの強引な営業を断りきれずに相場の倍近い価格で投資用マンションを購入し、自己破産寸前まで追い込まれた20代の女性の後悔を取り上げた内容でした。

アルヒ・アプラスずさん融資、ブローカーに騙された28歳女性

つまり、その男性は「不動産投資メディア」の記事を読んで、「不動産投資をするのをやめた」のです。

なぜ、企業はメディアを持つのか

オウンドメディアの存在意義とは何でしょうか。

企業自体のブランディングや採用を目的としているケースもありますが、多くの場合は自社の商品・サービスのPR、つまり企業の利益向上が狙いです。商品・サービスの認知拡大や価値付けにつながる情報を潜在顧客に発信し、見込み客の獲得やリピーターの育成を目指すためにオウンドメディアを運営しているのです。

例えば化粧品の会社なら、「毛穴の角栓はなぜできる?」といった記事を制作し、本文の後半あたりで自社が売り出しているクレンジングオイルなどを紹介します。保険会社なら、「生命保険の加入に適した年齢とは?」という記事の最後に「保険に関するお悩みはこちらまで」といった感じで資料請求を促すでしょう。

では、「不動産投資」に関するオウンドメディアの楽待新聞はどうでしょうか?

「利回り上昇中」の築30年RCマンションを安易に買ってはいけない
不動産投資で「カモ」にされた男の告白
「清掃済み」の部屋にネズミの死骸…ボッタクリ管理会社の闇

このように、「買ってはいけない」「カモ」「ボッタクリ」―など、およそ「不動産投資メディア」とは思えないようなタイトルが並んでいます。

もちろん、不動産投資のメリットや「買うべき物件」に関する記事もありますが、一方的に不動産投資を勧めるような内容はほぼありません。記事の最後に「不動産投資を始めましょう」といった資料請求ページもなければ、「オススメ物件はこちら」なんてリンクも存在しないのです。

「公正な不動産投資市場を創造する」というビジョン

なぜ、「オウンドメディア」なのに自社の商品・サービスをある種否定するような記事を配信しているのでしょうか。

それは、会社の経営理念が「社会の発展に貢献する」であり、「公正な不動産投資市場を創造する」というビジョンを掲げているからです。

もし仮に会社の経営理念が「自社の利益を最大化する」であったなら、上記の記事は全てボツを食らって世に出ることはないでしょう。自社の利益だけを考えれば、投資家にはどんどん物件を買ってもらった方がいいし、投資の失敗談なんて知ってもらう必要はないし、悪い不動産会社も黙認して広告出稿をしてもらった方が儲かるからです。

しかし、それら全ては「公正な不動産投資市場を創造する」というビジョンに逆行します。

知識をつけないまま投資用物件を買う人が増え、不動産投資で失敗した人の情報が表に出なくなり、素人を食い物にする不動産会社がのさばり続ける―。そうすれば、不動産投資家と不動産会社の情報格差がさらに広がり、業界の不透明性は増していくばかりです。

だからこそ、不動産投資家に正しい知識を伝えるとともに、問題のある不動産会社があれば忖度せずに情報発信していくことが必要なのです。

「不動産投資メディア」の存在意義とは

「公正な不動産投資市場を創造する」というビジョンを達成するためには、不動産投資家・不動産会社のどちらにも寄ることもなく、常に中立の立場で有益な情報を発信し、誰もが安心して不動産投資に参入できる市場を形成することが必要です。不動産投資のメリットもデメリットも、成功談も失敗談も公平に発信し、読んだ人に「判断」をしてもらうためのメディアが「楽待新聞」といえます。

つまり冒頭の男性のように、記事を読んで「不動産投資って怖そうだからやめておこう」という判断に至る人がいたとしても、その存在意義は果たしているのです。

この男性が将来、本当に不動産投資をすべきだと自分の頭で判断し、もう一度楽待新聞を訪れた時。本人が必要としている正しい知識を伝え、失敗の可能性を1%でも減らし、1人の不動産投資家として豊かな未来を手に入れるのを支援すること。

それこそが「不動産投資メディア」である楽待新聞の、本当の存在意義であると考えています。